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広島高等裁判所松江支部 昭和24年(う)121号 判決 1949年12月21日

被告人

高橋淸

主文

本件控訴を棄却する。

理由

而して他人の指示に従い物品の販売事務に従事するだけで、自ら販売或いは販売価格を決定する権限を有しない單なる使用人が、その他人と共に統制額を超えた代金で物品の販売をすることを共謀し、これに従つて右販売行爲を実行したときは、これについてその他人と共に共同正犯の責を負うべきことは、言うを待たないから、原審が原判示事実に基いて被告人に対し共同正犯の責任を認めたのは当然である。

次に論旨は原判決が本件押麦の売渡代金を四万九千九百九十九円六十錢と認定したのは事実誤認であると主張し原審公判廷における被告人の供述と証人永瀨巖雄の証言を対比檢討すれば、右代金は契約上五万円であることは明かであるが実際に授受された金員は両者の供述が一致しないのでこの点に関する原審の認定は必ずしも事実に反するものとはいえないし、代金を五万円と認定するも又四万九千九百九十九円六十錢と認定するも統制額を超過していることにはかわりなく、その差は僅かに四十錢に過ぎないのであつて、仮に所論の如く誤認であるとしても代金額に関するこの程度の事実誤認は判決に影響を及ぼさないことが明かであるから、原判決破棄の理由とはならない。

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